かんせんせいこうひしょう

乾癬性紅皮症

最終更新日:
2021年09月15日
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2021/09/15
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概要

紅皮症とは全身に紅斑(皮膚の赤み)が生じる病態を指し、乾癬(かんせん)によって起こるものを乾癬性紅皮症といいます。

乾癬は、皮膚の炎症によって角化を起こす病気で、銀白色の鱗屑(りんせつ)(皮膚の粉)を伴う境界明瞭な盛り上がった紅斑を特徴とします。

乾癬には尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)滴状乾癬(てきじょうかんせん)膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)、乾癬性関節症、乾癬性紅皮症の5つの病型があり、約90%は局所的に皮疹が生じる尋常性乾癬です。乾癬が悪化して全身に広がると乾癬性紅皮症となります。

日本における乾癬の患者数は人口のおよそ0.1%(10万人以上)と推定されていて、男女比は約2:1と男性に多く見られ、乾癬性紅皮症は全体の約1%といわれています。

原因

正常な肌の細胞(表皮細胞)の代謝サイクルは28日で、この間に新しい細胞が作られ、古い細胞が垢や古い角質として剥がれ落ちます。しかし、乾癬では代謝サイクルが4~5日と極めて短いため、次々と不完全な皮膚が積み重ねられていき、角化細胞が鱗屑となって剥がれ落ちます。また、炎症が加わることで皮膚が赤く盛り上がってきます。

なぜ代謝サイクルが病的に短くなるのかについては、まだ完全に解明されていません。さまざまな説が唱えられていますが、現在のところ免疫反応の異常が原因となって起こるという説が有力となっています。

乾癬の患者が未治療あるいは不適切な治療などにより悪化し、乾癬性紅皮症に移行することが多いとされています。

症状

乾癬性紅皮症では、乾癬の特徴的な症状である銀白色の鱗屑を伴う紅斑が全身にみられ、爪の変形を伴うことも多いといわれています。

皮膚の血管が持続的に拡張することで体温調整機能が損なわれ、発熱や悪寒、脱水、全身倦怠感などの症状を伴う場合もあります。また、低タンパク血症や低カルシウム血症をきたしやすく、これらによって全身のむくみなどの症状がみられることもあります。

検査・診断

乾癬でみられる皮膚症状は特徴的であるため、問診と視診によって診断がつく場合があります。ほかの皮膚病との区別が付きにくい場合には、皮疹の一部を採取して顕微鏡で観察する皮膚生検が行われます。

乾癬の患者はメタボリック症候群を合併しやすいことから、血圧測定や脂質検査、糖尿病の検査などが行われることがあります。また、治療の副作用を予防するために治療前・治療中に血液検査や胸部X線検査、胸部CT検査、肝炎ウイルス検査などをする場合もあります。

治療

乾癬性紅皮症の治療法には、主に紫外線を用いた光線療法と、薬による全身療法があります。

光線療法

人工的に紫外線を当てて乾癬の症状を緩和させる治療法です。方法としてPUVA療法とナローバンドUVB療法があります。

PUVA療法では、ソラレンあるいはメトキサレンという薬剤の外用または内服の後に、紫外線のA波(UVA)を皮膚に当てて皮疹の改善を図ります。また、これらの薬剤をお風呂に入れて入浴後にUVAを浴びる方法もあります。近年このUVAによる治療はあまり行われず、より簡便なナローバンドUVB療法が主流になっています。

この治療法は、より短波長である紫外線のB波(UVB)のうち有害な短めの波長を除き、乾癬により有効な311nmの波長を中心にした幅の狭い(ナローバンド)UVBを照射して皮疹を改善させる方法です。PUVA療法のような薬剤の外用・内服の必要はありません。

全身療法

全身に対する治療法のことで、内服薬または注射薬が用いられます。

内服薬としては、免疫抑制剤の1つであるシクロスポリン、ビタミンAと似た化学構造を持つエトレチナート、PDE4阻害剤のアプレミラストなどがあります。

注射薬としては生物学的製剤という新しいタイプの薬が使用されます。生物学的製剤とは、生物が産生する物質(タンパク質)を応用して作られた薬のことで、乾癬性紅皮症においてはインフリキシマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ、グセルクマブなどが効果的です。これらの薬を点滴または皮下注射して治療を行います。

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